看護師の古田です。先日、訪問までの道のりで梅の花が咲いているのを見かけとても癒されました。上品でかわいらしさがあってとても素敵ですよね。花言葉の一つに「忍耐」「不屈の精神」というものがあるそうです。まだ冬の寒さが残り冷たい風が吹いているなかで花の見ごろを迎える姿からつけられたそうです。世の中もまだまだ「忍耐」を求められる状況ですね。ゆっくりとお花を見に出かけられる日々が早く来てほしいと思います。
さて今回は胃癌で終末期にあったAさんとの関わりをお話しします。Aさんは残された命が短いことを主治医より聞いておられ、私たちは体調管理で訪問を開始しました。Aさんは当初より「病院ではなくお父さんと一緒に一生懸命建てたこの家で逝きたい」とおっしゃっていました。私たちはAさんの思いを受けとめながら日々関わっていました。しかし少しずつ体調が悪化するなか、ご本人やご家族の状況から考えて最善かつ現実的な方法として病院で過ごすことが良いのではと考えるようになりました。もちろんAさんの思いを尊重したい気持ちもあり、悩みました。訪問の度にAさんとご家族と対話を繰り返し、最終的には「あと一晩、このベッドで寝たら病院にいく」とAさんが決断され、その決断にご家族も納得されました。その後、Aさんは病院での日々を過ごし天国へと旅立たれました。訪問看護を始めてからお看取りに関わる経験はまだまだ少ないですが、お一人おひとりとの関わりからとても多くのことを感じ考えさせられます。Aさんにとってこれがベストだったのだろうか?今でも考えることがあります。
アドバンス・ケア・プランニング(以下ACP)という言葉をご存じでしょうか?これは世界共通用語で、近年この考え方と重要性は日本でも認知されるようになりました。直訳すると「事前のケア計画」となります。2018年にはACPを愛称「人生会議」とすることが厚労省より公表されています。ACPにおける対話では、がん患者が意思決定の可能な時期に、大切にしたいことや、受けたい/受けたくない医療に関する意思を表明し他者と対話することが推奨されています。私たちも利用者さんの少し先の身体状況を見据えながら、ご本人の希望の実現に向けて意識的に対話を行っています。ご本人の意向の尊重は意思決定の大前提になりますが、それがご家族や医療者の考えと常に同じであるとはかぎりません。また、ご本人の意思も日々の身体状況や心理状態に応じて変化するものです。心身がつらい時には、自らの死を意識するような対話をしたくない時期もあると思います。私は気持ちは変わるものであり対話を繰り返すことが大切だと思っています。そして個々人での価値観が異なるのは当然なので、倫理的・医学的視点から今の状況で最善かつ現実的なできることをご本人・ご家族と十分に討議したいと思っています。
Aさんは胃癌で食事を食べても嘔吐してしまう状況にはありましたが、ご本人が希望された“お抹茶”や“おねばのはった重湯”はなめる程度でも口にされていました。しゅわっと口の中で溶けるようなおせんべいも食べておられました。ご自宅だからできることできないこと、病院だからできることできないこと、それぞれあると思います。Aさんは自宅で過ごした時間も自分の希望することをしっかりお話して下さりできたことも多くありました。病院でどのように過ごされたか分かりませんが、梅のように上品でかわいらしいAさんが天国で笑っておられることを願っています。
訪問看護リハビリステーションたもつ(京都市伏見区)は、京都市伏見区、京都市南区、京都市山科区、京都市東山区を中心に活動をしています。
今年4月に京田辺市に訪問看護リハビリステーションたもつ2号店を考えてます。京田辺市、城陽市、井手町、宇治田原町の訪問体制を構築していきたいと考えています。
新規京田辺市のオープンスタッフ 令和3年2月4月採用看護師・療法士を募集しています。
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管理者 西谷 保