訪問看護リハビリステーション伏見 管理者の平田和幸です。

今年は暖冬の影響で朝と日中とでは気温の変動が大きく、体調を崩されてる方も多いのではないでしょうか。

今回は進行がんと精神疾患を持ちながら闘病され〇〇歳代の若さで亡くなられたA氏についてお話しします。A氏は数年前にがんが見つかりました。それから死への恐怖に襲われ、重度のうつ病と不眠症の診断を受けられました。私が初めてA氏を訪問したのは、それから1年後の事でした。自宅を訪れるとお酒の空き缶やボトルが大量に床に散らばっており、こんな環境で1人で生活しているのかと驚いたことが昨日の事のように蘇ってきます。本人より、『(死への)不安が強くて寝れないんです。だからお酒の力を借りてます。けれど寝れません。』と発言がありました。長い間アルコール依存に陥っていた事と、さらに自宅には睡眠剤の空袋がたくさんあり、過剰内服の現状があると分かりました。訪問開始から間もなく関連職種で相談し、断酒の必要性があると精神科病院に入院し治療されました。その後は入院加療が上手く行き、また退院後に再開した抗癌剤治療の効果も認め、さらに看護師が毎日訪問する事による安心感と睡眠剤の管理を行ったりと、断酒を継続する事ができました。

しかし、数ヶ月すると不定愁訴、自殺企図や焦燥感等が出始め入退院を繰り返す事となりました。A氏の精神状態が落ちつかない中で、抗癌剤治療を継続する事は不可能な状態となっていました。気づけば余命は1〜2ヶ月となり、自力で動く事が困難となり多職種連携により自宅での生活を続けられるように医師による定期的な往診や内服調整、ヘルパーによる買い物支援や調理、オムツ交換や自宅の清掃など日々ギリギリの所で生活を続けていました。

訪問看護として実践したことは、本人の意思を尊重し、決して断酒は強制せずA氏が自宅で生活を続けられるためにと言う思考のもと、看護師全員が統一した対応でA氏に向き合いました。しかし、実際は甘いものではありませんでした。重度のうつ病であるA氏は訪問看護介入当初から常に看護師へ依存傾向があり、毎日電話で不安を訴えておられました。それに伴い看護師は夜間でも日中でも緊急訪問をほぼ365日行いA氏の不安軽減に努めました。

夜中だけで複数回訪問した事もありました。看護師がいつバーンアウト(燃え尽き症候群)を起こしてもおかしくない状態でした。看護師全員のA氏への限界まで在宅で生活をさせてあげたいという思いと気力で何とか乗り切れのだと思います。最終的にがんの進行により、ある病院の緩和ケア病棟で亡くなったのですが、その病棟でも私達と同様に看護師や医師がA氏に寄り添い統一した対応で接する事で入院中は穏やかに過ごし、多くの人に見守られながら逝かれたと聞きました。A氏とは1年半ほどの関わりでしたが、がんと精神疾患、それに伴うアルコール依存と睡眠剤の過剰内服があり対応に難渋しました。訪問した際にはA氏の不安や恐怖に一緒に向き合い看護師としてできる事は何かを何度もスタッフで話し合い対応してきました。

正解は出ませんでしたが、利用者が在宅生活を継続する為に看護師として、またチームとしてできる事を可能な範囲で実施して行く事が重要であると学びました。A氏にとって訪問看護が少しでも、心の安定に繋がっていたとしたら幸いです。ご冥福をお祈りします。

訪問看護リハビリステーションたもつチームで終末期の利用者さんの支援を第一で考えています。

訪問看護リハビリステーションたもつでは、京都市伏見区、京都市南区、山科区、東山区、宇治市を訪問しています。あらゆる疾患に対して、24時間365日体制で訪問させていただきます。訪問看護訪問看護リハビリステーションたもつ京田辺 は、京田辺市、城陽市、井手町、宇治田原町、精華町の訪問体制を更なる構築したいと考えています。スローガンではなく、実際に活動できる、実施実績のあるステーションとなったと自負しています。

令和512月以降の看護師(伏見区・京田辺)・言語聴覚士を募集しています。在宅看護に興味のある方は募集要項にありますメール・電話にて連絡お待ちしています。楽しく、明るく、質の高い看護を提供しましょう。業者を通さず、ホームページからの直接メールまたは電話での採用を最優先、特別優遇します。遠慮なく連絡ください。6ヶ月後基本給をアップさせて頂きます。

統括所長 西谷 保